掲載記事の補足キャプション

9月4日、フットボールチャンネルに下記の記事を寄稿致しました。

乾貴士、突出した守備戦術レベル。「順当」な先発起用。複数の相手捕まえる立ち位置(フットボールチャンネル)

記事だけでは現象がわかりにくいと思いますので、映像のキャプションをいくつか貼り付けておきます。記事の補足として参照下さい。

10分のシーン1
10分_1

例えば10分のシーンを見ていこう。浅野を背負っていたオーストラリアの左CB(スピラノビッチ)がGKライアンへとバックパスを入れ、GKがエリア外でボールコントロールをした局面だ。そこでGKは素早く右ボランチのアーバインの足元へとパスを付けた。

オーストラリアがビルドアップの局面でボールを日本から見て右から左へと循環させたシーンだが、乾は同数でのハイプレスをかけられない時には基本的にミリガン、アーバイン、レッキーという3選手で形成されるトライアングルの中心に立っていた。



10分のシーン2
10分_2

エイバルのみならず今の欧州で採用されている戦術からすれば、アーバインがノープレッシャーで前を向いた「オープンな状況」ではマークの受け渡しは行わず自身の担当ゾーン(エリア)を離れることになってもマンマーク対応することが主流となっている。

しかし、この局面ではロギッチについていた昌子、レッキーについていた長友佑都がラインを下げて足元で受けようとする自身のマーカーを簡単にリリースしているため、アーバインからパスを受けたレッキーに対して致し方なく乾はプレスに行っている。

乾からすればビルドアップ(相手のパス)を誘導して狙い通りにサイドにボールを追いこんでいる状況である以上、長友にはレッキーにそのままついて行ってもらい、長友にボール奪取をしてもらいたかったはず。



17分のシーン
17分

続いては、17分のオーストラリアのゴールキックからのビルドアップでの乾のポジショニングだ。GKから中央のCB(セインズベリー)にショートパスが出て、そこから左CB(スピラノビッチ)に入り再びGKが足元で受けたシーンとなる。

ここで乾はアーバインとミリガンの二人をつかまえる中間ポジションを取っているが、GKが右方向にコントロールをした瞬間にポジションをボランチ(アーバイン)方向に寄せてボランチへのパスコースを塞ぎ、右CBミリガンへのパスを誘導している。結果としてGKはミリガンの足元へパスを付けたとしてもプレッシャーがかかると判断して前方に大きく蹴り出したが、昌子が難なく頭で井手口に入れ日本ボールとなっている。



19分のシーン
19分

3つ目のシーンは19分、オーストラリアの左から右へのサイドチェンジ。左のボランチ(ルオンゴ)から右のタッチライン沿いに張るレッキーにサイドチェンジが起こった場面で日本の選手に求められる守備の戦術アクションは「スライド」となるが、乾は長友と同等のスピードでレッキーに寄せて2対1の状況を作ろうとしている。

しかも乾はスプリントをかけながら自身の後方に入ったシャドー(ロギッチ)のポジションを確認している。エイバルで普段戦うラ・リーガ1部のレベルであれば、レッキーからワンタッチでロギッチに斜めのパスが出ていてもおかしくない。

実際、昌子、長谷部のスライド対応はスプリントではなくジョグであったため明らかに遅れていたが、乾はもしロギッチがレッキーからワンタッチで受けるために斜めにスプリントをかけていればそのコースを消しながらボールホルダーにアプローチをかけていたはずだ。



長友と同ラインまで下がる原口
長友と同ラインまで下がる原口

右CBに突っ込み簡単にはがされる井手口
右CBに突っ込み簡単にはがされる井手口

逆に交代で入った原口は、確かに82分の井手口の追加点のきっかけとなる高い位置でのボール奪取という目に見える守備での結果を出しはしたが、レッキーを警戒するあまり長友と同ラインか時に長友よりも低い位置まで下がるなど疑問符の付く守備対応が散見された。

その守備対応はハリルホジッチ監督の指示だったのかもしれないが、完全にノープレッシャーとなったミリガンに対して井手口が無理やり突っ込んでいき簡単にはがされるシーンがあるなど、もしオーストラリアが試合終盤に単純なロングボール、クロスの放り込みを徹底してくれば日本の左サイド、原口の守備対応が穴となっていた危険性もある。

プロフィール

Ichiro Ozawa

Author:Ichiro Ozawa
1977年9月、京都府生まれ。
サッカージャーナリスト。
早稲田大学教育学部卒業後、
社会人経験を経て渡西。
バレンシアで5年間活動し、2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。多数の媒体に執筆する傍ら、サッカー関連のイベントやラジオ、テレビ番組への出演やラ・リーガ、UEFAチャンピオンズリーグなどの試合解説もこなす。(株)アレナトーレ所属。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
著書










訳書












構成書(監訳)